こんにちは!ファイナンシャルプランナー(CFP®)認定者のソダマネです。
「産休・育休中は、社会保険料免除になるけど、将来もらえる年金額はどうなるの?」
とお悩みではありませんか?
産休、育休中は、社会保険料免除になりますが、将来もらえる年金額に影響はありません。
しかし、職場復帰後に出産前のようにフルタイムで働けない場合、何もしないと社会保険料の負担重いのに、将来もらえる年金が減ってしまいます。
そこで、「育児休業等終了時改定」と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用すれば、将来もらえる年金を減らさずに、社会保険料の負担を減らすことができます。
この記事では、産休・育休を取ると社会保険料の負担はどうなるのか、将来の年金額にどのような影響が出るのか、利用できる制度とその制度を使う時の注意点を解説します。
・産休・育休中の社会保険料の負担はどうなる?
・社会保険料が免除されたけど、将来もらえる年金額に影響はある?
・職場復帰後もお得に使える制度を知りたい!
とお思いの方は、ぜひお読みください。
産休・育休中は社会保険料が免除される
社会保険料の免除って何?
産休(産前産後休暇)、育休(育児休業)をとっている間は、社会保険料が免除されます。
社会保険料の免除とは、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料を事業者、被保険者ともに支払わなくて良いというものです。勤め先の会社を通して、社会保険料の免除の申請を出せば、利用できます。
社会保険料の免除を受けられる期間は?
産休の場合は、産休を取得した日の含まれる月から、産後休業が終了した日の翌日の含まれる月の前月までの期間です。
産前休業:3月25日~5月5日、産後休業:5月6日~6月30日
→産休の社会保険料の免除期間は3月~6月になります。
また、育休場合は、育休を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間(ただし、子が3歳に達するまで)です。
育児休業:7月1日~翌年の5月4日まで
→育休の社会保険料lの免除期間は7月~翌年の4月までになります。
免除期間は月単位で行われます。日割り計算は行われません。
そのため、社会保険料の免除期間を有効に利用するなら、仕事復帰は月初のほうがお得です。
例えば、5月30日に育休が終わる(5月31日仕事復帰)と、社会保険料の免除は4月までですが、5月31日に育休が終わる(6月1日復帰)と、5月まで免除されます。
職場復帰のタイミングは、保育園や会社の都合で自分では決められないこともありますが、職場復帰予定の方は覚えておきましょう。1日の違いが数万円の違いになります。
免除を受けると将来もらえる年金額はどうなる?
免除を受けている期間も、被保険者としても資格は継続するので、健康保険証を失ったり、将来の年金額が減ったりすることはありません。
将来もらえる年金額についてもっと掘り下げたいと思います。
会社員が支払っている厚生年金保険料には、国民年金の保険料も含まれています。そのため、将来、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)を両方を受け取ることができます。年金を受け取れるのは、基本的に65歳からです。
国民年金の受給額への影響
国民年金の受給額は、保険料を納めた期間によって変わります。
20歳から60歳まで40年間、満額で納めた場合、1年間で約78万円が死ぬまで支給されます。産休・育休をとって、保険料免除になっている期間も、保険料を支払っているものとみなされます。そのため、将来受け取る国民年金額が減ることはありません。
厚生年金の受給額への影響
厚生年金の受給額は、保険料を納めた期間と、保険料を納めているときの稼ぎによって変わります。稼ぎが多い人ほど保険料が高くなるので、受け取る年金額も多くなるという仕組みです。
産休・育休をとって、保険料免除になっている期間も、保険料を支払っているものとみなされます。また、稼ぎについては、産休に入る前と同じとみなします。そのため、将来受け取る厚生年金額が減ることはありません。
職場復帰後、社会保険料と将来受け取る年金額への影響は?
育休明けの社会保険料の負担は重たい場合が多い
育休明けの職場復帰は、時短勤務を利用する方も多いと思います。フルタイムで働いていた時と比べて、働く時間が減る分、給料は減ってしまいます。
それなのに、ほとんどの場合、社会保険料は産休前と同じ水準で支払わないといけません。なぜなら、社会保険料の計算の基準になる標準報酬月額は、原則として1年に1回しか見直されないからです。
頑張って復帰したのに、時短勤務で給料は減るのに、社会保険料の負担が重たいままなんて、耐えられません。
そこで、使えるのが「育児休業等終了時改定」です。
「育児休業等終了時改定」で社会保険料の負担を減らせる
「育児休業等終了時改定」とは、育休明けに時短勤務などで給料が減った場合に、標準報酬月額を育休明けの給料水準で見直しをしてもらえる制度です。会社に申請することで利用することができます。
「育児休業等終了時改定」を利用するには、次の3つの適用条件をすべて満たす必要があります。
①育休終了日に3歳未満の子を養育している。
②標準報酬月額に1等級以上の差が生じること。
③育休終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、少なくとも1か月における支払い基礎日数が17日以上あること。
また、社会保険料はすぐには減りません。申請後、職場復帰後の3か月間の給与の平均額に基づいて、4か月目から改定されます。
「育児休業等終了時改定」を利用するメリットとデメリットは次の通りです。
デメリットについて次の章で詳しくみていきましょう。
「育児休業等終了時改定」を使うなら「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」も合わせて利用する
デメリット①で挙げたように、育児休業等終了時改定を利用すると、支払う社会保険料が減るので、将来の厚生年金の受給額が減るというデメリットがあります。
厚生年金の受給額は、保険料の支払い期間とその期間の稼ぎによって変わるんでしたよね。
そこで使えるのが、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用することで、標準報酬⽉額が下がって支払う社会保険料が減っても、下がる前の標準報酬月額で年金の計算をしてくれます。そのため、将来もらえる厚生年金の受給額には影響がなくなります。
この制度は、3歳未満の子を養育している間に、標準報酬月額が養育開始月の前の月の水準よりも下がった場合に使えます。給料が減った理由は問わないので、育休明けでなくても利用できます。3歳未満の子供がいれば、給料が下がったパパも利用できます。
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」も会社に申請することで利用できます。
すぐに産休に入る場合「育児休業等終了時改定」を利用するかはよく考えて
デメリット②で挙げたように、職場復帰後、すぐに産休に入る場合、標準報酬月額をもとに計算される出産手当金が減る可能性があります。なぜなら、「育児休業等終了時改定」を利用することで 標準報酬月額が減ってしまうからです。
残念ながら、出産手当金を減らさないように対策できる制度はありません。そのため、すぐに産休に入る場合、「育児休業等終了時改定」を利用して社会保険料の負担を軽くするのか、 「育児休業等終了時改定」を利用せずに出産手当金を減らさないようにするのかはよく考えましょう。
まとめ:制度を賢く使おう
最後に、産休・育休を取ったときの社会保険料と将来もらえる年金額についておさらいをしておきます。
会社に免除の申請を出すと、社会保険料が免除される上に将来もらえる年金額に影響はありません。
「育児休業等終了時改定」と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を合わせて利用すれば、給与に見合う社会保険料の負担に調整される上に、将来もらえる年金額に影響はありません。ただし、すぐに産休に入る場合は「育児休業等終了時改定」を利用するかはよく考えましょう。
制度についてはすべて会社に申請をします。会社から申請を出すように連絡があるかと思いますが、念のためご自身で確認しておくと安心です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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